理事長のつぶやき・・・ 2020/07/20 令和2年7月20日(月) 陸上の投擲競技をへてアメリカンフットボールに出会いそれに打ち込んだ彼は、しかし、高校時代に交通事故による足腰の負傷で一年間の歩行不能に陥った。またその後遺症で大好きなフットボールの道を断念せざるを得なかった。 その彼が縁あって日本の国技、大相撲に入門することになる。入門当初は身体が固く股割の時に流した涙を「目から汗が出た」と言ったその言葉は後に世に広まることになる。精進を重ねた彼はその後外国人力士初の関取、さらには幕内力士となり、初土俵から八年半経った昭和47年夏場所でついに十三勝二敗の好成績でこれまた外国人力士としては初の幕内最高優勝をとげた。 彼の米国名での愛称はジェシー、帰化した日本の本名は渡辺大五郎。彼こそ大相撲で最高位東の関脇をつとめた髙見山その人である。 昭和56年四十歳まであと一ヶ月で引退をした高見山は年寄り東関(あずまぜき)を襲名し昭和58年に東関部屋を創設した。現役時代、当時の師匠である高砂親方から「今どきの日本人の若者と比べればずっと日本人的考え方の持ち主だ」と評された彼は部屋の創設にあたり部屋の理念を「十の心」と題して額にした。 「十の心」 一、「おはよう」という 親愛の心 一、「はい」という 素直な心 一、「すみません」という 反省の心 一、「どうぞ」という 謙譲の心 一、「私がします」という 奉仕の心 一、「ありがとう」という 感謝の心 一、「おかげさまで」という 謙虚の心 一、「お疲れさん」という 労りの心 一、「なにくそ」という 忍耐の心 一、「嘘をつくな」という 正直な心 力士のための訓えにとどまらず人間として大切な訓えがここにはある。幼児教育に関わる我々も子ども達に心の大切さを説く前にまず自分自身の心をこの「十の心」に照らしてみることがもとめられそうだ。 理事長 小山直久